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物理学者で「日本のエジソン」と称された藤岡市助のアイデアに賛同した大倉喜八郎・三野村利助ら財界人が発起人となって出資を募り1886年「東京電燈」が設立された(東京電力の前身)。米国トーマス・エジソンの電気事業開始から遅れること僅か6年の快挙であった。翌年早くも電力供給に成功した藤岡市助の東京電燈は、東京の5ヶ所に火力発電所の設置を進め200kWの大出力を誇る浅草発電所の建設にも着手、1891年には契約件数が1万4千を突破し「浅草凌雲閣」には電力駆動のエレベーターが登場した。東京電燈に続き大阪・神戸・京都・名古屋・九州と日本各地に相次いで電力会社が設立され、渋沢栄一の「大阪紡績」など大規模工場から本格的な電力導入が進み製造業発展の牽引役となった。戦前を通じて発電方法の主力は石炭火力だが、1892年開業の琵琶湖水力発電所を皮切りに発電コストの低い水力発電所が全国各地に建設され、電気料金の低下が電力普及に拍車を掛けた。電力は一般家庭へも広がり1916年の普及率は東京・大阪で80%、全国でも40%に達した。電機コンロ・アイロン・扇風機などの家庭用電化製品も発売され、芝浦製作所(東芝)など国産メーカーも存在感を示したが、非常に高価なため一般家庭への普及は進まず、戦前の庶民にとって電気といえば電灯(定額灯)だった。満州事変勃発後の電気産業は軍需一色となり、家電の普及と国産品製造の本格化は第二次大戦後の松下電器・東芝・シャープ・ソニーらの勃興まで待たなければならなかった。