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「地域間格差の是正・地方への利益誘導」を使命に掲げた田中角栄内閣は、鉄道・道路などの公共工事で「列島改造ブーム」を巻起こし、見返りの利権でスパイラル的に勢力を伸張、土建行政と金権政治の元祖というべき政権であった。田中角栄政権に端を発する過剰な地方・農村・社会的弱者への「バラマキ」は歪な逆差別構造と地元偏重の悪弊を生み、今なお解消されていない。安易な財政出動の「パンドラの箱」を開けたことも田中角栄政権の重罪だろう。当時は経済が好調で税収が充実していたのでやっていけたが、財布の紐は一度緩めると締まらないもので、田中角栄退陣後の1975年には10年ぶりに赤字国債が復活し、バブル期も国債発行残高は増え続けた。バブル崩壊で税収が激減しても無駄遣いに歯止めが掛からず、1994年から赤字国債が常態化し小泉純一郎政権で国債発行残高が急膨張、「財政再建」は行われないまま日本政府の借金は積りに積って2014年現在1000兆円・対GDP比200%の大台に迫っている。また「政治と金の問題」で必ず名前が挙がるのも田中角栄である。代名詞の「ロッキード事件」はキッシンジャー米国務長官らの陰謀とされるが、氷山の一角であり、田中角栄は中堅時代から政治利権の現金化に天才的手腕を発揮したうえ小佐野賢治と組んで違法すれすれの土地取引等を繰返し荒稼ぎしていた。財界がバックに控える福田赳夫(清和会)や宏池会と異なり、有力な資金源を持たない叩上げの田中角栄は自力で政治資金を稼ぐほか無かったが、あの笹川良一が敬遠したほどの傍若無人ぶりで「田中金脈」の発覚は自業自得であった。